この記事を読んでいるあなたは
- 麻雀のプレイ人口はどのくらい居るのか知りたい
- 麻雀業界は衰退傾向にあるのか回復傾向にあるのか知りたい
- ネット麻雀のプレイ人口はどのくらい居るのか知りたい
上記のように考えているかもしれません。
この記事では、麻雀人口の推移とこれからの麻雀業界の傾向について、各媒体が公表しているデータをもとにお伝えしていきます。
レジャー白書が調査した麻雀プレイ人口
レジャー白書とは、全国15~79歳のうち約3,000人を対象におこなった調査結果をもとに、スポーツや娯楽などあらゆるレジャーの現状をまとめた資料です。
各レジャーの参加人口や年間平均活動回数、市場規模などが掲載されており、需要把握のための指針として活用されています。
麻雀人口を調査したデータが少ない中、レジャー白書は1983年から麻雀参加人口を調査している貴重な媒体です。
ちなみに、雑誌名は「レジャー白書〇〇」と西暦が記載される形になっており、前年度のレジャー参加状況が記載されています。
つまり、レジャー白書2020に記されているのは2019年のデータで、現状はそれが最新です。
ではさっそく、レジャー白書のデータを参考に、麻雀人口の推移を見ていきましょう。
リアル麻雀人口は減少傾向
レジャー白書の歴史の中で最も麻雀参加人口が多かったのは、「レジャー白書1983」の2,140万人でした。
上記は、レジャー白書が麻雀の参加人口調査を開始した年のため、それ以前にピークがあった可能性は否定できません。
しかし、その後2,140万人を上回るデータが出ることはなく、現状把握しうる麻雀参加人口のピークは1982年となっています。
その後は、年によって若干の回復を見せながらも、全体としては衰退の一途をたどり、2019年の麻雀参加人数は510万人まで落ち込んでいます。
下記に、近年の麻雀参加人口と市場規模を表にまとめたので、参考にしてください。
推移がわかりやすいよう、前年度よりも増えている場合にのみ赤線を引いています。
参加人口 | 市場規模 | |
---|---|---|
2010 | 1,240万人 | 640億円 |
2011 | 960万人 | 560億円 |
2012 | 760万人 | 580億円 |
2013 | 650万人 | 560億円 |
2014 | 870万人 | 510億円 |
2015 | 600万人 | 520億円 |
2016 | 500万人 | 490億円 |
2017 | 500万人 | 500億円 |
2018 | 580万人 | 490億円 |
2019 | 510万人 | 490億円 |
2014年と2018年に増加の兆しが見えるものの、数年単位で見ればゆるやかに下降しており、麻雀人口は衰退傾向にあると言えます。
また、参加人口の減少に伴い、雀荘の数も年々減っています。
警察庁が発表したデータ(※)によると、1980年に約35,800店あった雀荘は、2000年には20,098店舗まで減少。その後も衰退は止まることなく、2020年には7,597店舗まで落ち込んでいます。
※参考:麻雀店数の伸び、風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況
観戦やネット麻雀は人口に含まれていない
とはいえ、レジャー白書の調査結果を見て麻雀業界そのものが衰退していると考えるのは、やや早計です。
動画配信サービスやスマホアプリの普及に伴い、麻雀の楽しみ方は多様化しているからです。
2017年には、サイバーエージェントの藤田晋社長が麻雀プロリーグを立ち上げてAbemaによる動画配信を開始しましたし、麻雀アプリじゃんたまは公式番組にVtuberを起用することで若い世代に麻雀を広めています。
にもかかわらず、上記のような観戦者やネット麻雀人口は、レジャー白書の麻雀参加人口には含まれていません。
なぜなら、「動画鑑賞」や「オンラインゲーム」は、麻雀とは別にひとつのレジャー項目として存在しているからです。
衰退傾向にあるのは麻雀だけではない
衰退傾向にあるレジャーが、麻雀のみではないことにも注目してみましょう。
麻雀と同じ娯楽部門には、パチンコ・競馬などのギャンブルや、将棋・囲碁などの知的ゲームもラインナップされています。
しかし、それらはいずれも10年前に比べて半数程度まで、参加人口が減っているのです。
そもそも今は昔に比べて遊びの幅も広がっていますし、スマホの普及によってネットを介した娯楽も増えています。
オンラインで遊べる娯楽は、リアルでの需要が薄れ、結果的に参加人口が減っていくのは仕方がないことなのかもしれません。
他の娯楽と比べたときの麻雀人口
2010年 | 2019年 | |
---|---|---|
麻雀 | 1,240万人 | 510万人 |
パチンコ | 1,670万人 | 890万人 |
中央競馬 | 1,130万人 | 830万人 |
ゲームセンター | 3,000万人 | 1,470万人 |
家庭用ゲーム | 4,290万人 | 2,070万人 |
他の知的ゲームと比べたときの麻雀人口
2010年 | 2019年 | |
---|---|---|
麻雀 | 1,240万人 | 510万人 |
将棋 | 1,200万人 | 620万人 |
囲碁 | 610万人 | 230万人 |
Mリーグが調査した麻雀プレイ人口
出典:https://m-league.jp/about
Mリーグ機構は、2019年、15~79歳の男女10,000人を対象に「Mリーグに関するアンケート調査」をおこないました。
この調査は、Mリーグの浸透度やイメージを把握するためにおこなわれたのですが、日本の麻雀人口という観点から見ても非常に興味深い結果となっています。
「見る専」麻雀人口の存在
調査結果によると、Mリーグの視聴者数は約500万人、全人口の4%程度でした。
しかし、上記のユーザーに麻雀の経験を聞いたところ、なんと過半数以上を占める300万人が、麻雀未経験者だったのです。
この結果から見えるのは、麻雀をプレイしないけれど観戦はする、「見る専」の存在です。
今までであれば、スポーツ観戦は野球やサッカーなどの身体スポーツに限られ、麻雀や将棋などの知的スポーツは、プレイヤーが勉強のために見るものという印象が強かったでしょう。
それが今、Mリーグの発足により、未プレイヤーでも楽しめる娯楽へと変化を遂げつつあるのです。
レジャー白書の調査では見えなかった「観戦者」の存在は、麻雀人口の増加を促す一手となるかもしれません。
ネット麻雀のプレイ人口がリアル麻雀の数値を上回る
Mリーグのアンケートで発表された「Mリーグ市場規模に関して」のデータからは、リアル麻雀とネット麻雀の面白い比率が見えてきました。
まず、リアル麻雀プレイヤーは全人口の3.8%を締めているので、参加人口は約480万人と導き出せます。
若干の差があるものの、レジャー白書の調査結果510万人とも一致するような内容になっていますね。
対して、ネット麻雀プレイヤーは全人口の5.1%。約640万人がネット麻雀をプレイしているという結果です。
しかも、そのうちの約300万人はリアル麻雀の経験がない、という解答をしています。
リアル麻雀経験者の3分の2がネット麻雀を経験しているのに対し、ネット麻雀経験者がリアル麻雀に興じるケースは半数にも満たなかったのです。
麻雀動画の視聴者数から見る麻雀人口
Mリーグ機構による市場調査の結果、今や麻雀はプレイするだけではなく、観戦するレジャーに成長しつつあることがわかりました。
では、Mリーグ以外の麻雀動画閲覧数はどうなっているのでしょうか。
YouTubeやAbemaの視聴者数をもとに、読み解いていきます。
YouTube
YouTubeにアップされている、登録者数・視聴回数が多い麻雀専門チャンネルをピックアップしました。
チャンネル登録者数 | 視聴回数最多動画 | 配信日 | |
---|---|---|---|
MONDO TV | 25.3万人 |
| 2019/12/20 |
日本プロ麻雀連盟 | 10.5万人 |
| 2015/10/05 |
麻雀スリアロ | 6.14万人 |
| 2015/11/20 |
平澤元気麻雀ch.from雀劇tv | 8.05万人 |
| 2020/12/12 |
麻雀ウォッチ | 6.39万人 |
| 2018/10/27 |
※登録者数と視聴回数は2021年9月現在のものです
調べてみた結果、扱っている内容によって視聴回数が大きく異なることがわかりました。
再生回数が多い動画は、いずれも奇跡的なプレイを撮影した動画で、鮮やかな逆転劇や出現率の低い役でのアガリが見られるという内容になっています。
対して、麻雀を打つ人に向けた学習用動画は、上記のパフォーマンス系に比べると、登録者数・視聴回数ともに控えめです。
YouTubeに訪れるユーザーがエンタメ系動画を好むことも一因と言える結果ですが、見ごたえのある対局シーンが多くの心を掴んでいることは間違いありません。
アウトローと言われてきた麻雀が、一般層にも広まっている様子が伺えますね。
Abema
Abemaで公開されている麻雀チャンネルは全部で40。その中から、視聴回数が多いチャンネルをピックアップしました。
視聴回数最多動画 | |
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麻雀AI vs 藤田晋 vs KADOKAWAサクラナイツ |
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2018RTDリーグ SEMIFINAL&FINAL |
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藤田晋INVITATIONAL RTD TOURNAMENT 2019 |
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新春オールスター麻雀大会2019 |
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麻雀最強戦2021 |
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※登録者数と視聴回数は2021年9月現在のものです
Abemaは、YouTubeのように不特定多数が動画配信するわけではないので、動画の傾向が異なります。
配信されているのは、プロ麻雀団体主催のリーグ戦や、Abemaオリジナルの麻雀大会です。
動画は短くても1本1時間程度。対局を通しで流しているので、本当に「麻雀の対局が見たい」という人が集まります。
上記の視聴人数から「見る専」の人数を割り出すことはできませんが、Abemaのユーザー調査によれば、Mリーグ発足から2年で女性視聴者数が3倍以上に増加したとのことです。
麻雀のプレイ人口の多くは男性ですから、新しい層に麻雀が広まっている事がわかりますね。
アプリのユーザー数から見る麻雀人口
つづいて見ていくのは、ネット麻雀の人口です。
Mリーグが発表した調査では、「リアル麻雀よりもネット麻雀の人口が増えている」という結果が出ていました。
そこで、代表的な麻雀アプリが発表している登録ユーザー数をもとに、どれほどネット麻雀が根付いているのかを見ていきます。
ジャンナビ
ジャンナビは、2021年9月2日に17周年を迎えた歴史ある麻雀ゲームです。
スマホアプリ版だけではなく、PC版やSwitch版などさまざまなプラットフォームでサービスが提供され、多くの人に愛されています。
そんなジャンナビの累計会員数は、500万人。ちょうど、レジャー白書発表の麻雀参加人数と同等ですね。
ひとつのアプリでこれだけの人数に遊ばれているというのは、素晴らしいです。
ジャンナビにはリアルタイムでのユーザー数表示がなく、500万というのは2018年4月に発表されたユーザー数のため、現在はもう少し増えていると予想されます。
じゃんたま
じゃんたまは、2019年リリースの比較的新しい麻雀アプリです。
ボイス付きの美麗なキャラクターが登場する今までにないシステムで、麻雀をやったことのない若年層にも広く受け入れられました。
さらにはVtuberとのコラボで、ゲーム実況を好む層へのアピールにも成功。リリースからわずか1年で、累計登録ユーザー250万人を突破するという快挙を遂げています。
天鳳
天鳳は、2006年にリリースされたオンライン麻雀ゲームです。
数あるオンライン麻雀の中でも、非常にプレイヤーレベルが高いとされており、天鳳で取得した段位はリアル麻雀の強さ証明にもなると言われています。
そんな天鳳の累計登録ID数は、2021年9月時点で600万人を突破。リアルタイムで更新されているので、常に最新のユーザー数が把握できます。
リアル麻雀人口は衰退気味もコンテンツ自体が勢いを失ったわけではない
麻雀全盛期は2,000万以上居た麻雀参加人口は、2019年になって510万人まで低下。雀荘の数も大幅に減少し、とあるネット調査では、若者のギャンブル離れが著しいとの結果が出ています。
しかし、決してコンテンツ自体が廃れたわけではありません。
2017年には麻雀のプロリーグ「Mリーグ」が立ち上がり、開幕から2年で視聴者数500万人を突破するなど、快挙を見せています。
さらに、ソーシャルゲームの普及に伴って、麻雀アプリ市場も活性化。
麻雀人口が減ったのではなく、麻雀の楽しみ方そのものが時代に合わせて変わってきたと言えるでしょう。